ビブリオ俱楽部第5作目「奪取」by 真保裕一


今回は真保裕一著「奪取」です。

 

本書はコンゲームといわれるジャンルです。

コンゲームとは、詐欺や騙し合いをテーマにした痛快な犯罪小説のことで、ストーリーが二転三転して最後にどんでん返しがあったりして、読んでいて痛快な気持ちになってきます。

 

この「奪取」は山本周五郎賞と日本推理作家協会賞を受賞している作品で、上下巻900ページもある長編小説ですが、一気に読めます。

まず、主人公とその友人が、やくざにはめられて悪徳金融に理不尽な借金を背負わされますが、短期間で大金を入手するためにATM専用の偽札をつくり見事に成功します。しかし、やくざに手口を嗅ぎつかれて陥れられてしまいます。その後、いろいろな人と出会いながら、より精巧な偽札を作り、やくざとその後ろにいた銀行に復讐を果たしていくといったストーリーです。騙しの手口や偽札造りの詳細な手口が書かれていて、ドキドキしながら読みました。

 

このジャンルに私が出会った小説で、初めて読んだときはかなり衝撃を受け、そのあと、著者の他の作品もたくさん読みました。

その他の作品では、「連鎖」や「震源」、映画化もされた「ホワイトアウト」などがお薦めです。