今回は第10回山田風太郎賞受賞作の月村了衛著「騙す衆生」です。
昭和の時代に実際に流れた映像が衝撃的だった「豊田商事事件」。
その事件から始まり、実際にあった詐欺事件がリアル感あふれる描写で次々と連なり、最後は驚愕のラストへと向かいます。
普通のサラリーマンであった主人公の隠岐。詐欺会社の一員であった過去を消して、新たな一歩を踏み出すはずが…。
自分の意思とは関係なく巻き込まれてしまった隠岐が、最終的には自らが手段を選ばない人間に闇落ちしていく姿は、人間の欲をリアルに表現した作品となっています。
「人を騙せるなら自分を騙す方が簡単だ」
500ページを超える小説ですが、一気に読み進められます。ぜひご一読ください。
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